児童館職員をしていてよく質問されるのが「児童館と学童保育は違うんですか?児童クラブってなんですか?」です。
地域によってバラバラで、なかなか説明しても伝わらないので、簡単に整理してみました。
学童保育や放課後児童クラブと呼び方がバラバラですが、ここでは「放課後児童クラブ」で統一してお話いたします。
児童館と放課後児童クラブ
●児童館
児童館は、児童福祉法第40条による児童福祉施設です。
屋内型の児童厚生施設(他に屋外型の児童遊園あり)であり、子どもに健全な遊びを提供して、その心身の健康を増進し情操を豊かにすることを目的としています。
簡単に言えば屋根のある公園で、スタッフは遊びの見守りや提供をします。
ここで言う子どもは18歳未満の児童を指します。
運営母体は様々で、都道府県や市町村、自治体の指定管理者制度で任されたNPO法人や
社会福祉法人だったりします。
児童館には規模の大きい大型児童館や、運動遊びが充実した児童センターというものも
あります。
●放課後児童クラブ
昭和30年台初頭から母親の就労の増加に伴って、いわゆる「鍵っ子」が社会問題とし
て取り上げられるようになり、自主運営や市区町村の単独補助による事業が全国に広が
っていったのが元です。
そのため放課後児童クラブの事業主体や運営はそれぞれで違い、画一的な改善が難しい
状況、つまり受け入れ人数や学年、職員資格や配置がクラブによって違うという問題が
起きていました。
保護者のいない放課後だけ預かる放課後児童クラブや、保護者の就労に関係なく預かる
ところもあります。
呼び方も児童クラブであったり、学童保育であったりするのもそのせいです。
なので、そういった差を解決するために国は放課後児童支援員認定資格を設け、放課後
児童クラブに一定の運営基準をもたせるようにしました。
●放課後児童クラブでの過ごし方。
放課後児童クラブは学校とは違い、保護者が家に帰るか、迎えに来るまで安全に過ごす
ための場所で、学校のように時間割が決まっていません。
宿題をしたり、遊んだりして過ごすかは子どもの判断です。
職員は学校教諭ではないので、勉強を教えることは出来ません。
宿題したら?と促すことは出来ますが、勉強の仕方が変わってきているので我々が習っ
たやり方とは違うんです。
たまに児童館に宿題を持ってきてる子の宿題を覗いたりしますが、算数のさくらんぼ計
算は初めて見ました。
保護者としては宿題の面倒を見て欲しいという気持ちの方が多いと思いますが、家で保
護者が教えて上げたほうが子どもも混乱せず、進み具合も見ることができるんじゃない
でしょうか。
ただ、このとき気をつけて欲しいのが「のび太のママ」にならないこと。
のび太ママは「勉強しろ」が口癖ですが、のび太に勉強を教えることはしません。
どこがわからないか一緒に考えることをしてあげれば、のび太の姿勢もかわるんじゃな
いかな、と思います。
●放課後児童クラブ卒業後の心配
放課後児童支援員認定制度により、6年生まで放課後児童クラブに受け入れをするよう
になりました。
地域によっては順次引き上げられていっているので、今は3年生までというところもあ
るかもしれません。
で、保護者の方が心配されるのが児童クラブ卒業後のことでしょう。
まずは友達関係。
児童クラブ同士の友達が多く、児童クラブ以外の子と遊ぶ経験が少ないです。
学校によっては保護者のいない家で遊ぶのは禁止なんていうところもあり、結果嘘をつ
いて遊んだりすることもあるんじゃないでしょうか。
駄菓子屋さんでお金の貸し借りトラブルがあったりもするなんてことも聞きました。
学年が上がるとできることも増え、世界が変わります。
低学年のうちは楽しい場所でも、高学年になるにつれ退屈になるかもしれません。
他の友だちと遊ぶ機会がないというのは、社会を学ぶ機会が少ないといえるでしょう。
鍵の扱い、買い物の仕方など、未経験のままで困るのは子どもです。
児童館の行事で焼き芋をした時、ずっと火を眺めている子どもがいました。
聞いたら、家がオール電化なので燃える火を見たことが無いとのこと。
火事ってどんなことなのか知らないのか、と心配になったことがあります。
●児童館・放課後児童クラブをうまく使って
放課後児童クラブに勤める職員や学校の先生との話を聞いての私の感想も入れてみまし
たが、なんとなくそれぞれの違いが伝わったでしょうか。
バランス良く使って、子どもが楽しく過ごしてくれたらうれしいです。